無機化学

鉄の精錬では、まず赤鉄鉱Fe2O3、磁鉄鉱Fe3O4などの鉄鉱石とコークスを層状になるように高炉の上部から送り込み、炉の下方から熱風を吹き込んで銑鉄と呼ばれる鉄を得る。

 

このとき炉の中では、送り込まれた熱風中の酸素がコークスと反応して、一酸化炭素となり、この一酸化炭素により、鉄鉱石中の鉄の酸化物は還元されて金属鉄となる。

この鉄の還元により、一酸化炭素の約50%は酸化されて二酸化炭素となる。

このようにして得られた金属の鉄は赤熱したコークスから炭素を吸収するので、4%程度の炭素を含む銑鉄となり、溶融状態(約1500℃)で炉の下部にたまる。

 

次に、この高温の溶融した銑鉄を転炉に移し、酸素を吹き込んで過剰な炭素やその他の不純物を酸化して取り除き、炭素含有量2%以下の鋼とする。

 

このとき銑鉄中の炭素は主に一酸化炭素となり、この一酸化炭素は回収して燃料として使用される。

 

※Fe2O3→Fe3O4(混合物というわけではない。結晶格子の中に組み込まれている)→FeO

 

※転炉中では吹き込まれる酸素との反応を進めるために鉄を高温で融解した状態に保つ必要があるが、そのための熱を外部から供給する必要はない。・・・(理由)一酸化炭素の生成熱により高温が維持されるため。